観戦日記第13章「雪を吹き飛ばして」
注)頭の上の雪は誇張表現

2005年3月13日 阪神甲子園球場  阪神【先発:福原】VS巨人【先発:桑田】

2002年9月25日。首位をほぼ独走状態だった巨人は、この前日までに優勝までのマジックを1とし、この日、対象チームだったヤクルトが敗れたため、この日、阪神甲子園球場で行われていた阪神・巨人戦の結果に関わらず、2002年季のセントラルリーグ優勝を決めた。そしてその阪神・巨人戦だが、延長12回までもつれこみ、12回ウラ、2アウト満塁から、あろうことか、キャッチャー・阿部慎之助のパスボールで阪神がサヨナラ勝ちした。

その後、甲子園球場では、いつものように六甲おろしが球場内にこだました。そしてその後、3塁側ベンチから、ゆっくりと巨人ナインがやってきて、原辰徳監督(当時)が胴上げされた。これを中継したフジテレビには、試合後に放送予定だった「ナースのお仕事スペシャル」が2時間もずれ込んだことで、大量の抗議電話が寄せられたという。しかし、その一方、この「六甲おろし合唱」と、「原監督の胴上げ」の順番を巡り、裏で一悶着があったということは、この時点で、殆どの人が知らなかっただろう。

この事件に関わったのは、阪神の応援団の1つ、「中虎連合会」。かつては、阪神私設応援団と共に、甲子園の応援を仕切る中核をなしていたが、かねてから、暴力団との癒着等が取りざたされていた。そして、この日も、会のメンバーが前述の順番に関して、球場長に対して恐喝事件をおこした。それ以後、紆余曲折を経て、いつからか、中虎会メンバーは球場への立ち入りが禁ぜられた。

一方、いつも甲子園のスタンドを沸かす、選手毎の応援歌。その中でも、何十年もの間に、いつの間にか作られたという、野手・投手汎用の応援歌がある。当然著作者は不明だが、かつて発売していた応援歌CDで、その著作者が「中虎連合会」と記されていたことが、最近になって発覚した。著作者に入る印税が暴力団関係者に流れているという話も飛び交い、CDは発売中止となり、私設応援団側も、不本意ながら、中虎会が作成に携わったとされる選手別応援歌を一部変更する運びとなった。

この新しい応援歌が発表されるのは、3月13日の阪神・巨人戦から、とかねてから報じられていて、また、私は去年、中日・ヤクルト・広島・横浜との試合は見てきたのですが、巨人との試合だけ見られなかったということもあり、この日の試合を見に行くことにしました。


楽天戦と同じように、当日券でいい席が取れるだろう、と思ったら、大きな誤解をしていたのでした。どこの球場もそうだったんですが、巨人戦は通常のシーズンと同じように料金を徴収していたので、1塁内野指定席でも普通に3500円取られるのでした。あまり多くの金をもってきていなかった私は、外野スタンド以外では唯一入ったことのなかった1塁アルプス席に入ることにしました。前々から行ってみたかった席だったので、ちょうどいいか。

甲子園の駅に着いたのは朝10時ちょっと過ぎ。チケット販売・開門は11時からということで、球場前のチケット売り場に並ぶけれども、阪神高速と球場に挟まれた日陰で、この間は気持ちよかったはずの浜風も、今日は寒さを増幅させる物以外の何者でもなかった。前にはタバコを吸うおじさん、後ろにはお孫さんを連れてきたおじいさんに挟まれ、寒い中50分近く待つ羽目に。


↑球場そばで展示されていた阪神タクシーの「タイガース・キャブ」。

指定席を取ったとはいえ、結局この周辺で行くところは無く、とりあえず普通の売店で70周年グッズだけ買って中へ。名物の甲子園カレーを食べた後、しばらくネット際で巨人の練習風景を観察。


↑オペの怪我癒えない高橋由伸。
かつて日吉の慶応グランドでスカウト陣の注目を集めた頃の面影はもはや感じられません。



ウォーミングアップ中の巨人の選手 左:ローズ 中:仁志ドジ敏久 右:たぶん小田

先発投手は誰や、ということですが、既に阪神は福原が先発するということは決定事項だったのでいいんですが、巨人は誰や、と思っていました。この前日、それまでの1週間の登板を振り返って考えて、おそらく桑田になるだろう、と思っていたら、まさにその通りでしたわ。


続いて、スターティングラインナップも発表されました。以下の通りです。
巨人 阪神
4 仁志 8 赤星
6 二岡 4 藤本
DH 高橋 3 シーツ
3 清原 7 金本
7 ローズ 5 片岡
5 小久保 9 スペンサー
8 キャプラー DH 桧山
9 清水 2 野口
2 阿部 6 鳥谷
桑田 福原


試合前、両軍とも最後のウォーミングアップがありました。
そしてそこで、阪神の選手の中に、背番号が「53[赤星]」でもなく、「51[桜井]」でもない、背番号50番台の選手が。



赤松かよ!
立命館出身、キャンプ中に故障離脱した赤松、もう復帰ですか?


そしてこちらは、今季注目の1塁を争う2人。




試合前には、今季新入団選手が並びました。
奥から能見・ブラウン・橋本・ダーウィン・辻本・玉置・水落・岡崎・大橋・シーツ・スペンサー・町田・赤松・高橋です。



先発は、先週登板感覚が開きすぎた影響もあってか大乱調だった福原。
それでも去年はGキラーとして活躍し、今日の登板にも期待がかかりました。




さぁプレイボール。先頭バッターは仁志。
一昨年9月に、甲子園で巨人戦を見たことがあったんですが、その時に比べるとまだ多い数のオレンジ色のタオルがレフトスタンドにひしめき合っていました。

そして仁志が出た時の、おなじみのあのコール。

せ〜のっ…
いちろー…あ、違った、とーしひさー!
(注:この「せーの、とーしひさー!」には、オリックス応援団の「せーの、イチロー!」のパクリ説があります。)

シーツ先生がエラーをしでかすという波乱に満ちたこのイニングは4人で終了。
というか、清原の打席の時に、ランナー由伸が刺されただけなんですがね。


そのウラ、いきなり赤星がスリーベースで出塁、藤本のタイムリーも続いて難なく1点先制。

今回、私がこの1塁アルプス席に来たのは、ライスタほどではありませんが、この席も比較的応援の熱が高いということで、応援歌を歌うのにはちょうど良いかな、とか、色々な考えから選んだわけですが、表の攻撃が終わると、私設応援団の方(俗に「ジャージ」と呼ばれているそうな)が通路上に現れ、まず1ウラの攻撃前に、私たちに向かって、少しガラガラ声でこう叫んでいました。

「本日は、阪神甲子園球場にご来場下さいまして、誠にありがとうございます!
オープン戦ですが、巨人戦ということで、絶対に負けるわけにはいきません!
最後まで、皆さんのご声援、よろしくお願いします!!!」


こういう応援団の挨拶というのを、初めて見た私、ちょっと感動しました。

2回ごろから微妙に雪がちらつきます。
そして3回表。雪がちらつく中、無死2・3塁から仁志のツーベースで一気に逆転されてしまいます。

↓その時の雪の様子。


そして3回ウラ。
バッター赤星、ボールカウント2-3の時に、途端に動きが止まり、審判がなにやら話し始めます。
そして、守っていた巨人の選手が一斉にベンチへ。

ウグイスコール一声。
「お客様にお知らせいたします 雪による視界不良のため、
試合を一時中断
いたします ご了承くださいませ」


非常に寒い中、売り子はここぞとばかりに、「温かいコーヒー・お茶いかがですか〜?」とか、「お酒・おつまみいかがですか〜?」と周る。そして自然と六甲颪・スタメンメドレーがこだまします。それが続くこと約6分。雪雲が梅田方向に流れて行き、少し青空が見え出すと試合再開です。

途中、福原は2アウトながら満塁の大ピンチを迎えてしまいました。
しかしここで、何とか福原は踏ん張りきり、無失点に抑えます。晴れ間と共に、何かが流れてきた予感がしました。
応援団員の人も、「声を出して応援すると暖かくなりますよー!」と私たちに声援を促します。

そしてそのウラ。
3者連続フォアボールで、何と無死満塁の大チャンスを迎えます。
あの大型扇風機スペンサーも、なぜか選球眼だけよかったりします。

そして次なるバッターは桧山。
ライスタからは、チャンステーマの前触れとなる「KO、KO、ジャイアンツ!」コール。
あわててチャンステーマの歌詞カードを取り出します。

左中間越え、フェンス直撃で走者一掃
次の野口も続いてこの回
一挙4得点で大逆転。

歌詞カード持ったまま、それがぐしゃぐしゃになるほど感動ものでした。

結局この日、桑田は5回5失点、福原は4回2失点でした。
そして5回・6回と、新人の橋本がピシャリと抑えます。

6回ウラには、岡島からさらに1点もぎ取りました。
しかし、その次の7回表、登板した中村泰が、相変わらずの「ストライク入らず症候群」で、ゲッツー崩れと押し出しで2点を献上。7回表ということもあって、風船を立てて待つファンのフラストレーションは高まる一方でした。

そして風船飛びし後の7回ウラ。
こんなウグイスコールが。

「ジャイアンツ 選手の交代をお知らせいたします
ピッチャー、岡島に代わりまして 
河原…」
わ〜〜〜〜〜〜!!!!!(注:トラ党からの歓声)

で、この回、結局無得点。河原に復活の兆し有りとは、困ったことだ。

8回表は、中村泰が、先ほどの投球がウソのような投球で切り抜けます。
8回ウラは、隼人に完璧に斬られました。

残すは9回表を残すのみ。
もちろんオープン戦なので、9回の1イニングは誰かに任せるわけです。

私の予想は、ウィリアムスだったのですが…

「タイガース、選手の交代をお知らせいたします
ピッチャー、中村泰広に代わりまして、
久保田…」

またかよ!!!

これで私は久保田の投球を5回見たことになります。
何度かランナーも出すなど、少しヒヤヒヤものでしたが、何とか試合終了。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
巨人 0 0 2 0 0 0 2 0 0 4
阪神 1 0 0 0 4 1 0 0 X 6
【勝】福原→橋本→中村【S】久保田
【負】桑田→岡島→河原→中村

【ホームラン】 なし


六甲颪と新スタメンメドレーの大合唱の後、球場を後にしました。
ここで初めて披露された新応援歌ですが、今でもやはり賛否両論があるようです。個人的な感想になりますが、今までの応援歌はシンプルで音程の変化も少なく、他球団に比べると覚え易く、歌い易かったと思います。一方、新しい応援歌は、これまでに比べると音程の変化が大きい歌が多く、多少歌いにくくなった感がありますが、個人的にはいい歌が揃っていると思います。影に、これまでの歌にあわせたイメージを残そうとする私設応援団の方々の苦労も汲み取れます。頭ごなしに否定するのではなく、すこし受け入れる姿勢をもって歌ってみると、簡単に受け入れられますよ。


※オープン戦観戦特別レポは、これで終了します。今後、当レポは2006年季以降の試合まで作成しませんが、それ以降はこれら、甲子園や大阪ドームだけではなく、各地の球場からのレポをお伝えする予定ですので、ご期待ください。また、交流戦に絡んだレポも多数お伝えしていく予定です。

後日談:この2日後、私はのど痛と微熱を伴う風邪をひいてぶっ倒れてしまいました。明らかにこの試合で寒空の中に放置されたのが原因で、さらに満員電車の中でさらに悪化したのでしょう。3月で未だにインフルエンザが流行るなど、今年も不思議な気候の1年になりかねません。どうか皆様もお体にはお気をつけ下さい。


オマケ写真  左:帽子を取って3塁スタンド近くを歩く清原  右:新婚・黒田マナカ

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